損傷する頻度も考慮に入れると
2018年02月06日 17時40分
■iPhone Xなら加入した方が良い
その「マイナスの期待値」から言うと、上述したようにiPhone Xについては、かなり高価なパーツを採用しているため、リスク率が低いとしても修理コストが高くなります。そして、「iPhone Xはこわれやすい」とするテスト結果を報告している団体もありますので、リスク率も低くはなさそうです。
iPhone XやiPhone 8のような最新機種については、AppleCareはお勧めできると言えます。
■フロントパネル交換1回だったら……
上記のケーススタディをみると、iPhone X以外の機種すべてについて、「フロントパネル交換1回」であれば、AppleCareに加入しない方が若干ながらお得であることがわかります。
「スマートフォンを落としてフロントパネルを破損」というリスクの発生率は、期間の長さなどが異なる条件でとられた統計がいくつかあるのですが、低いもので10%、高めのもので30%前後です。「2回落として破損させる」率を単純にその二乗と考えると、1%から9%になります。
「2回も落とすことはないだろう」、あるいは「1度落としたら、次は絶対ないように気をつける」といった考え方をすれば、AppleCareには加入しないという選択も十分にアリです。
ただし、落として破損した場合、「ダメージがフロントパネルだけにとどまるとは限らない」点には注意してください。修理に出したところ、ほかの部品にまでダメージがおよんでいて、修理しないとその後の使用にさしつかえが生じることがわかった場合、Appleサポートのスタッフから連絡がきます。「フロントパネル以外の損傷の修理」まで行って、その分の修理料金まで支払うか、それともフロントパネルの交換もキャンセルしてデバイス本体を返却されるか、どちらか選ぶように、という連絡です。Appleサポートとしては、損傷を残すような中途半端な仕事はできないのです。
「フロントパネル交換以外の修理」が絡むと、すべての機種でAppleCare加入の方が得になるのは、先ほど確認したとおりです。すると、AppleCareには入っておいた方が無難と言えるでしょう。
■1年で買い換え、転売するならば……
熱心なアップルファンですと、新機種がリリースされるたびに、年に一回のペースで買い換えるという人もいます。そういう場合には、1年の製品保証期間内でデバイスを使わなくなります。さらには、使わなくなったデバイスをネットオークションなどで転売する人も、最近は多くなっています。そういった場合は、AppleCareは不要という考え方もあります。
しかし、1年使って転売という場合でも、AppleCareに入っておいた方が有利かもしれません。
というのは、1年の製品保証で無償修理の対象になるのは「自然故障」のみで、事故や過失による損傷の修理は有償対応になるからです。AppleCareで破損・損傷リスクにそなえるという意義は、一年以内の使用でも変わらないのです。
それに、一年ちかく使用していれば、気をつけていてもフロントパネルに細かい傷は付くものでしょう。転売を考えるなら、できるだけキレイにした方が高く売れます。AppleCareに入っていれば、3,400円でキレイにできるわけです。しかもAppleCareの期間が1年残っているわけですから、その分も売値に乗せられます。新規加入時の半値を十分に下回っていれば、買い手も納得するでしょう。
■結論・AppleCareは入った方が得
以上のように検討しますと、「AppleCareは見送った方が得」と言える状況は、かなり限定的にしか生じないと考えられます。
ということで、結論は「AppleCareは加入した方が得」です。ご参考までに。